連立方程式の文章題(割合)¶
割合の問題では、「全体の量の関係」と「割合をかけた量(食塩の量・売値・増えた人数など)の関係」の2つから連立方程式を立てます。小数や分数は、整数に直してから解きましょう。
この単元でできるようになること¶
- 百分率・歩合を小数や分数で表せる
- 食塩水の問題で、食塩の量の関係から式を立てられる
- 定価・割引・利益の問題を解ける
- 人数の増減の問題を解ける
前に習ったこと¶
始める前に、次の問題が解けるか確かめよう。
問題を読み込んでいます…
基本を理解する¶
はじめに:割合を復習しよう¶
割合の問題は小学校で学びましたが、パーセントや「もとにする量」の扱いを忘れている人も多いので、まず復習しましょう。
割合とは何か¶
割合とは、「あるものがもとにするものの何倍にあたるか」を表す数です。
例:50 人のクラスで 20 人が眼鏡をかけているとき、眼鏡をかけている割合は?
「パーセント」「割・分・厘」の対応¶
割合の表し方には複数の種類があります。
| 表し方 | 意味 | 計算での使い方 |
|---|---|---|
| パーセント(%) | \(1\% = \dfrac{1}{100} = 0.01\) | \(x\% = \dfrac{x}{100}\) |
| 割(わり) | \(1\) 割 \(= 0.1\) | \(3\) 割 \(= 0.3\) |
| 分(ぶ) | \(1\) 分 \(= 0.01\) | \(2\) 分 \(= 0.02\) |
| 厘(りん) | \(1\) 厘 \(= 0.001\) | \(5\) 厘 \(= 0.005\) |
「割引」の計算
「\(20\%\) 引き」=もとの値段の \(100\% - 20\% = 80\%\) を払う。
「\(3\) 割引き」=もとの値段の \(70\%\) を払う。
「割増」の計算
「\(20\%\) 増」=もとの量の \(100\% + 20\% = 120\%\) になる。
具体例で確認¶
例① 3000 円の商品を \(20\%\) 引きで買った。いくら払う?
例② 昨年 200 人だった参加者が今年 \(15\%\) 増えた。今年は何人?
例③ \(5\%\) の食塩水 \(200\) g に含まれる食塩は何 g?
割合の問題で特に大切なこと¶
「もとにする量」に気をつけよう
割合は何に対するか(もとにする量)で意味が変わります。
- 「定価の \(20\%\) 引き」→ もとは定価
- 「原価の \(30\%\) 増しが定価」→ もとは原価
- 「昨年より \(10\%\) 増加」→ もとは昨年の量
式を立てる前に「何を \(100\%\) としているか」を必ず確認する。
連立方程式を使う割合の問題¶
割合の文章題では、次の 3 種類の問題がよく出てきます。
| 問題の種類 | 使う関係式 |
|---|---|
| 食塩水・混合 | 食塩の量の保存(濃度×全体量) |
| 定価・売値・利益 | 定価=原価×(1+利益率)、売値=定価×(1−割引率) |
| 人数・量の増減 | 増加後=もとの量×(1+増加率) |
例題¶
例題1:食塩水を混ぜる問題¶
\(8\%\) の食塩水 \(x\) g と \(3\%\) の食塩水 \(y\) g を混ぜたところ、\(5\%\) の食塩水 \(500\) g ができた。
\(x\) と \(y\) をそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
\(8\%\) の食塩水を \(x\) g、\(3\%\) の食塩水を \(y\) g とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
-
全体の質量:\(x + y = 500\)
-
食塩の量:混ぜる前の食塩の合計 = 混ぜた後の食塩の量
食塩水の問題で立てる等式
「(濃度)× (食塩水の量)= (食塩の量)」を使って、
食塩の量が保存されることから等式を作る。
③ 連立方程式を立てる
食塩の式の両辺に \(100\) をかけて整理する。
④ 解く
①×3:\(3x + 3y = 1500 \quad \cdots ①'\)
②−①'(\(3y\) を消去):
\(x = 200\) を①に代入:\(y = 300\)
⑤ 確認して答える
- 質量合計:\(200 + 300 = 500\) g ✅
- 食塩の量:\(\dfrac{8}{100}\times200 + \dfrac{3}{100}\times300 = 16 + 9 = 25\) g
- 混合後の濃度:\(\dfrac{25}{500}\times100 = 5\%\) ✅
答え:\(8\%\) の食塩水 \(200\) g、\(3\%\) の食塩水 \(300\) g
例題2:定価と割引の問題¶
商品 A と商品 B の定価の合計は \(3000\) 円だった。
商品 A を定価の \(10\%\) 引きで、商品 B を定価の \(20\%\) 引きで買ったところ、
合計 \(2520\) 円だった。商品 A と商品 B の定価をそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
商品 A の定価を \(x\) 円、商品 B の定価を \(y\) 円とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
-
定価の合計:\(x + y = 3000\)
-
売値の合計:
- A の売値:\(x \times (1 - 0.10) = 0.9x\)
- B の売値:\(y \times (1 - 0.20) = 0.8y\)
「〇%引き」の式の作り方
\(10\%\) 引きの売値 \(=\) 定価 \(\times\) \((1 - 0.10) =\) 定価 \(\times 0.9\)
\(20\%\) 引きの売値 \(=\) 定価 \(\times\) \((1 - 0.20) =\) 定価 \(\times 0.8\)
③ 連立方程式を立てる
②の両辺を \(10\) 倍して小数をなくす。
④ 解く
①×8:\(8x + 8y = 24000 \quad \cdots ①'\)
②'−①'(\(8y\) を消去):
\(x = 1200\) を①に代入:\(y = 1800\)
⑤ 確認して答える
- 定価合計:\(1200 + 1800 = 3000\) 円 ✅
- 売値合計:\(0.9\times1200 + 0.8\times1800 = 1080 + 1440 = 2520\) 円 ✅
答え:商品 A の定価 \(1200\) 円、商品 B の定価 \(1800\) 円
例題3:原価と利益の問題¶
商品 A の原価は \(x\) 円、商品 B の原価は \(y\) 円で、原価の合計は \(7000\) 円だった。
商品 A には原価の \(3\) 割の利益を乗せて定価をつけ、商品 B には原価の \(2\) 割の利益を乗せて定価をつけた。
2 つの商品の定価の合計は \(8700\) 円だった。原価 \(x\)、\(y\) をそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
商品 A の原価を \(x\) 円、商品 B の原価を \(y\) 円とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
-
原価の合計:\(x + y = 7000\)
-
定価の合計:
- A の定価:原価の \(3\) 割増し \(= x \times 1.3 = 1.3x\)
- B の定価:原価の \(2\) 割増し \(= y \times 1.2 = 1.2y\)
「〇割増し」の式の作り方
\(3\) 割増し(\(30\%\) 増し)の定価 \(=\) 原価 \(\times (1 + 0.3) =\) 原価 \(\times 1.3\)
\(2\) 割増し(\(20\%\) 増し)の定価 \(=\) 原価 \(\times (1 + 0.2) =\) 原価 \(\times 1.2\)
③ 連立方程式を立てる
②の両辺を \(10\) 倍して小数をなくす。
④ 解く
①×12:\(12x + 12y = 84000 \quad \cdots ①'\)
②'−①'(\(12y\) を消去):
\(x = 3000\) を①に代入:\(y = 4000\)
⑤ 確認して答える
- 原価合計:\(3000 + 4000 = 7000\) 円 ✅
- 定価合計:\(1.3\times3000 + 1.2\times4000 = 3900 + 4800 = 8700\) 円 ✅
答え:商品 A の原価 \(3000\) 円、商品 B の原価 \(4000\) 円
例題4:人数の増減の問題¶
ある中学校の昨年の生徒数は男女合わせて \(500\) 人だった。
今年は、男子が昨年より \(6\%\) 増加し、女子が昨年より \(4\%\) 減少したため、
全体では昨年より \(10\) 人増えた。昨年の男子と女子の人数をそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
昨年の男子の人数を \(x\) 人、女子の人数を \(y\) 人とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
-
昨年の合計:\(x + y = 500\)
-
今年の合計:昨年より \(10\) 人増えたので今年の合計は \(510\) 人
「〇%増加・〇%減少」の式の作り方
\(6\%\) 増加後 \(=\) 昨年 \(\times (1 + 0.06) =\) 昨年 \(\times 1.06\)
\(4\%\) 減少後 \(=\) 昨年 \(\times (1 - 0.04) =\) 昨年 \(\times 0.96\)
③ 連立方程式を立てる
②の両辺を \(100\) 倍して小数をなくす。
さらに \(2\) で割る:
④ 解く
①×48:\(48x + 48y = 24000 \quad \cdots ①'\)
②''−①'(\(48y\) を消去):
\(x = 300\) を①に代入:\(y = 200\)
⑤ 確認して答える
- 昨年の合計:\(300 + 200 = 500\) 人 ✅
- 今年の男子:\(300 \times 1.06 = 318\) 人、今年の女子:\(200 \times 0.96 = 192\) 人
- 今年の合計:\(318 + 192 = 510\) 人(昨年より \(10\) 人増)✅
答え:昨年の男子 \(300\) 人、女子 \(200\) 人
例題5:食塩水に水を加える問題(発展)¶
\(10\%\) の食塩水 \(x\) g に水 \(y\) g を加えて \(4\%\) の食塩水を作った。
できた食塩水は \(500\) g だった。\(x\) と \(y\) をそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
もとの \(10\%\) の食塩水を \(x\) g、加える水を \(y\) g とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
-
食塩水の質量の合計:\(x + y = 500\)
-
食塩の量は変わらない:水を加えても食塩の量は変化しない。
水を加えるときのポイント
水には食塩が含まれていないので、
「もとの食塩水に含まれる食塩の量」=「できた食塩水に含まれる食塩の量」
③ 連立方程式を立てる
2 つ目の式を整理する(両辺を \(100\) 倍):
実はこの式だけで \(x\) が求まります。\(y\) は①から求めます。
④ 解く
②より \(x = 200\)
\(x = 200\) を①に代入:\(y = 300\)
⑤ 確認して答える
- 食塩水の質量:\(200 + 300 = 500\) g ✅
- もとの食塩量:\(\dfrac{10}{100}\times200 = 20\) g
- 混合後の濃度:\(\dfrac{20}{500}\times100 = 4\%\) ✅
答え:\(10\%\) の食塩水 \(200\) g、加えた水 \(300\) g
自分でやってみる¶
解いたら「答えを確認」で確かめよう。
問題を読み込んでいます…
間違えやすいポイント¶
よくある間違い
- \(x\%\) をそのまま計算に使う:必ず \(\div 100\) する
- 「もとにする量」を間違える:何に対する \(\%\) かを確認する
- 「割引後の値段」と「割引額」を混同する:\(20\%\) 引きなら払う額は \(80\%\)
- 小数のまま連立方程式を解く:両辺に \(10\) や \(100\) をかけて整数に直してから解く
割合の文章題でよくある間違い¶
間違い①:「\(x\%\)」を そのまま計算に使う¶
\(5\%\) を「\(5\)」のまま使って \(5 \times 200 = 1000\) としてしまうミスです。
✅ 対策:\(x\% = \dfrac{x}{100}\) に直してから計算する。または両辺に \(100\) をかけて整数にしてから解く。
間違い②:「もとにする量」を間違える¶
「定価の \(20\%\) 引き」のもとは定価ですが、「原価の \(20\%\) 増しの定価」のもとは原価です。
✅ 対策:「何の \(\%\)」なのかを必ず確認して、もとにする量を \(100\%\) として式を立てる。
間違い③:「割引後の値段」と「割引額」を混同する¶
「\(20\%\) 引き」は定価の \(20\%\) が安くなるのではなく、定価の \(80\%\) を払うということです。
| 表現 | 式 |
|---|---|
| 定価の \(20\%\) 引きで買う | 売値 \(=\) 定価 \(\times 0.8\) |
| 定価の \(20\%\) 分だけ安くなる | 割引額 \(=\) 定価 \(\times 0.2\) |
間違い④:小数のまま加減法・代入法を使おうとする¶
\(1.06x + 0.96y = 508\) のような式は、小数のまま扱うとミスが増えます。
✅ 対策:両辺に \(100\) をかけて整数係数の式に直してから解く。
まとめ¶
割合の基本公式
| 表現 | 計算での式 |
|---|---|
| \(x\%\) | \(\dfrac{x}{100}\) |
| \(p\%\) 引き | \(\times(1 - \dfrac{p}{100})\) |
| \(p\%\) 増し | \(\times(1 + \dfrac{p}{100})\) |
問題の種類と立てる等式
| 問題の種類 | 1本目の式 | 2本目の式 |
|---|---|---|
| 食塩水の混合 | 質量の合計 | 食塩の量の保存 |
| 定価・割引 | 定価の合計 | 売値の合計 |
| 原価・利益 | 原価の合計 | 定価(または売値)の合計 |
| 人数の増減 | もとの合計 | 変化後の合計 |
理解度チェック¶
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