連立方程式の文章題(速さ)¶
速さの問題では、「道のりの関係」と「時間の関係」の2つから連立方程式を立てることが多くあります。単位(分と時間、m と km)をそろえてから式を作りましょう。
この単元でできるようになること¶
- 道のり・速さ・時間の関係を式で表せる
- 道のりの関係と時間の関係から連立方程式を立てられる
- 追いつく・出会う・川の流れの問題を解ける
- 単位をそろえて式を立てられる
前に習ったこと¶
始める前に、次の問題が解けるか確かめよう。
問題を読み込んでいます…
基本を理解する¶
はじめに:速さの公式を復習しよう¶
速さ・道のり・時間の問題は小学校で学びましたが、忘れている人も多いので、まず復習しましょう。
基本の 3 つの公式¶
速さ・道のり・時間の関係は、次の 1 つの式に集約されます。
この式を変形すると、3 つの公式が得られます。
速さ・道のり・時間の公式
「みはじ」の図で覚える¶
「み(道のり)・は(速さ)・じ(時間)」の図を使うと、どれを求めるかに応じた式がすぐにわかります。
- み を求めたい → \(\text{み} = \text{は} \times \text{じ}\)
- は を求めたい → \(\text{は} = \text{み} \div \text{じ}\)
- じ を求めたい → \(\text{じ} = \text{み} \div \text{は}\)
具体例で確認¶
例① 時速 \(4\) km で \(3\) 時間歩いた。道のりは?
例② \(15\) km の道のりを \(3\) 時間かけて移動した。速さは?
例③ 時速 \(6\) km で \(9\) km 進んだ。かかった時間は?
単位に気をつけよう¶
速さの問題では単位をそろえることが最重要です。
単位のそろえ方
- 速さが「km/h(時速)」なら、時間は「時間」、道のりは「km」
- 速さが「m/分(分速)」なら、時間は「分」、道のりは「m」
分を時間に直す:\(\text{○分} = \dfrac{\text{○}}{60} \text{ 時間}\)
例:\(30\) 分 \(= \dfrac{30}{60} = \dfrac{1}{2}\) 時間、\(45\) 分 \(= \dfrac{45}{60} = \dfrac{3}{4}\) 時間
速さの問題で立てる等式¶
| 条件の種類 | 立てる等式 |
|---|---|
| 道のりが等しい | \(\text{速さ}_A \times \text{時間}_A = \text{速さ}_B \times \text{時間}_B\) |
| 道のりの合計がわかる | \(\text{道のり}_A + \text{道のり}_B = \text{合計}\) |
| 時間の合計がわかる | \(\dfrac{\text{道のり}_A}{\text{速さ}_A} + \dfrac{\text{道のり}_B}{\text{速さ}_B} = \text{合計時間}\) |
| 時間の差がわかる | \(\dfrac{\text{道のり}_A}{\text{速さ}_A} - \dfrac{\text{道のり}_B}{\text{速さ}_B} = \text{時間差}\) |
連立方程式を使う速さの問題¶
速さの問題で使う文字の置き方¶
| 何が未知か | 置き方 |
|---|---|
| 2 区間の道のりが不明 | それぞれを \(x\) km、\(y\) km とおく |
| 2 つの速さが不明 | それぞれを \(x\) km/h、\(y\) km/h とおく |
| 2 人の速さが不明 | それぞれを \(x\) m/分、\(y\) m/分とおく |
例題¶
例題1:2 区間の道のりを求める¶
家から学校まで、はじめは時速 \(4\) km で歩き、途中から時速 \(12\) km で自転車に乗り換えた。
合計の道のりは \(16\) km で、かかった時間は全部で \(2\) 時間だった。
歩いた道のりと自転車に乗った道のりをそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
歩いた道のりを \(x\) km、自転車に乗った道のりを \(y\) km とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
- 道のりの合計:\(x + y = 16\)
- 時間の合計:(歩いた時間)+(自転車の時間)= 2 時間
③ 連立方程式を立てる
④ 解く
②の両辺に \(12\) をかけて分母をはらう:
②'−①(\(y\) を消去):
\(x = 4\) を①に代入:\(y = 12\)
⑤ 確認して答える
- 道のり合計:\(4 + 12 = 16\) km ✅
- 時間合計:\(\dfrac{4}{4} + \dfrac{12}{12} = 1 + 1 = 2\) 時間 ✅
答え:歩いた道のり \(4\) km、自転車の道のり \(12\) km
時間の式を作るポイント
「時間 \(=\) 道のり \(\div\) 速さ」なので、
歩いた時間は \(\dfrac{x}{4}\)、自転車の時間は \(\dfrac{y}{12}\) と表せる。
例題2:川の流れがある問題¶
静水上での速さが一定のボートで、川を上り下りした。
上りは \(24\) km 進むのに \(6\) 時間かかり、同じ \(24\) km を下るのに \(4\) 時間かかった。
このボートの静水上での速さと、川の流れの速さをそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
ボートの静水上での速さを \(x\) km/h、川の流れの速さを \(y\) km/h とおく。
川の流れと速さの関係
- 上り(流れに逆らう):ボートの速さ − 流れの速さ \(= x - y\)
- 下り(流れに乗る):ボートの速さ + 流れの速さ \(= x + y\)
② 等しい関係を 2 つ見つける
道のり \(=\) 速さ \(\times\) 時間 より:
- 上り:\((x - y) \times 6 = 24\)
- 下り:\((x + y) \times 4 = 24\)
③ 連立方程式を立てる
各式を整理する。
④ 解く
①+②(\(y\) を消去):
\(x = 5\) を②に代入:\(y = 1\)
⑤ 確認して答える
- 上り速さ:\(5 - 1 = 4\) km/h、\(24\) km を \(\dfrac{24}{4} = 6\) 時間 ✅
- 下り速さ:\(5 + 1 = 6\) km/h、\(24\) km を \(\dfrac{24}{6} = 4\) 時間 ✅
答え:ボートの静水上の速さ \(5\) km/h、川の流れの速さ \(1\) km/h
例題3:追いつく問題¶
A さんが歩いて家を出発した。A さんが出発してから \(10\) 分後に、B さんが自転車で同じ道を追いかけた。
B さんは出発してから \(40\) 分後に A さんに追いついた。
A さんの歩く速さは B さんの自転車の速さより \(4\) km/h 遅い。
A さんと B さんの速さをそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
A さんの速さを \(x\) km/h、B さんの速さを \(y\) km/h とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
B さんが追いついた瞬間、2 人は同じ場所にいる → 2 人の道のりが等しい。
- A さんが歩いた時間:B さんより \(10\) 分早く出発 → \(10 + 40 = 50\) 分 \(= \dfrac{50}{60} = \dfrac{5}{6}\) 時間
- B さんが走った時間:\(40\) 分 \(= \dfrac{40}{60} = \dfrac{2}{3}\) 時間
- 速さの差:B さんは A さんより \(4\) km/h 速い
③ 連立方程式を立てる
1 つ目の式を整理する(両辺を \(6\) 倍):
④ 解く
②より \(y = x + 4\) を①に代入:
\(x = 16\) を②に代入:\(y = 20\)
⑤ 確認して答える
- A さんの道のり:\(16 \times \dfrac{5}{6} = \dfrac{80}{6} = \dfrac{40}{3}\) km
- B さんの道のり:\(20 \times \dfrac{2}{3} = \dfrac{40}{3}\) km ✅(道のりが等しい)
- 速さの差:\(20 - 16 = 4\) km/h ✅
答え:A さん \(16\) km/h、B さん \(20\) km/h
追いつく問題のポイント
追いついた瞬間の2 人の道のりは等しい。
それぞれの時間を正確に計算してから式を立てる。
| 出発 | B が出発してから追いつくまで | 合計時間 | |
|---|---|---|---|
| A | B より 10 分早い | 40 分 | 50 分 |
| B | ― | 40 分 | 40 分 |
例題4:出会う問題¶
A 地点と B 地点は \(36\) km 離れている。
A さんは A 地点から、B さんは B 地点から、同時に向かい合って出発した。
\(3\) 時間後に 2 人は出会った。A さんの速さは B さんの速さより \(2\) km/h 速い。
2 人の速さをそれぞれ求めよ。
解答
① \(x\)、\(y\) を決める
A さんの速さを \(x\) km/h、B さんの速さを \(y\) km/h とおく。
② 等しい関係を 2 つ見つける
向かい合って進んだ 2 人が出会うとき、2 人の道のりの合計 \(=\) 2 地点間の距離。
- 道のりの合計:\(3x + 3y = 36\)
- 速さの差:\(x - y = 2\)
③ 連立方程式を立てる
1 つ目の式を \(3\) で割る:
④ 解く
①+②(\(y\) を消去):
\(x = 7\) を①に代入:\(y = 5\)
⑤ 確認して答える
- 3 時間で進む合計距離:\(3\times7 + 3\times5 = 21 + 15 = 36\) km ✅
- 速さの差:\(7 - 5 = 2\) km/h ✅
答え:A さん \(7\) km/h、B さん \(5\) km/h
出会う問題のポイント
向かい合って進むとき、2 人の道のりの合計が 2 地点間の距離になる。
追いかける問題とは逆で、「道のりの合計」で式を立てる。
例題5:往復で速さが違う問題¶
A 地点から B 地点まで行きは時速 \(40\) km、帰りは時速 \(30\) km で移動した。
帰りは行きより \(15\) 分長くかかり、往復の合計時間は \(1\) 時間 \(45\) 分だった。
A 地点から B 地点までの道のりを求めよ。
解答
① \(x\) を決める
A 地点から B 地点までの道のりを \(x\) km とおく。
「道のりが 1 つ」の場合は 1 文字でもよい
往復なので道のりは同じ \(x\) km。
未知数が実質 1 つなので、連立方程式でなく 1 元の方程式でも解けますが、
ここでは時間を \(y\) とおく 2 文字での解き方も示します。
2 文字を使う解き方
行きの時間を \(t_1\) 時間、帰りの時間を \(t_2\) 時間とおく。
- 行き:\(40 t_1 = x\) より \(t_1 = \dfrac{x}{40}\)
- 帰り:\(30 t_2 = x\) より \(t_2 = \dfrac{x}{30}\)
② 等しい関係を 2 つ見つける
- 往復の合計時間:\(1\) 時間 \(45\) 分 \(= \dfrac{7}{4}\) 時間
- 帰りは行きより \(15\) 分 \(= \dfrac{1}{4}\) 時間長い:
③ 連立方程式を立てる
④ 解く
①+②(\(t_1\) を消去):
①−②(\(t_2\) を消去):
道のりを求める:
⑤ 確認して答える
- 行き:\(30\) km を時速 \(40\) km で \(\dfrac{30}{40} = \dfrac{3}{4}\) 時間 \(= 45\) 分 ✅
- 帰り:\(30\) km を時速 \(30\) km で \(\dfrac{30}{30} = 1\) 時間 \(= 60\) 分 ✅
- 往復合計:\(45 + 60 = 105\) 分 \(= 1\) 時間 \(45\) 分 ✅
- 帰りは行きより \(60 - 45 = 15\) 分長い ✅
答え:\(30\) km
自分でやってみる¶
解いたら「答えを確認」で確かめよう。
問題を読み込んでいます…
間違えやすいポイント¶
よくある間違い
- 分と時間を混ぜる:分 \(\div 60\) = 時間(\(30\) 分 \(= 0.5\) 時間)
- 道のりの式と時間の式を逆にする:「時間 \(=\) 道のり \(\div\) 速さ」
- 追いつくと出会うを混同する:追いつく → 道のりが等しい、出会う → 道のりの合計
- 川の上りと下りを逆にする:上りは流れに逆らうので速さが小さくなる(\(x - v\))
速さの文章題でよくある間違い¶
間違い①:分と時間を混ぜて計算する¶
「30 分」を「0.3 時間」と書いてしまうミスです。
✅ 対策:時間に直すときは \(\div 60\) する。\(30 \div 60 = 0.5\) 時間。
間違い②:道のりの式と時間の式を混同する¶
| 求めるもの | 立てる式 |
|---|---|
| 道のり | 速さ \(\times\) 時間 |
| 時間 | 道のり \(\div\) 速さ |
どちらを等しいとおくかを間違えると、式が成り立ちません。
✅ 対策:「何が等しいのか」(道のりが等しい?時間が等しい?)を先に確認してから式を立てる。
間違い③:「追いつく」と「出会う」の混同¶
| 問題の種類 | 2 人の関係 | 立てる式 |
|---|---|---|
| 追いつく | 同じ方向に進み、道のりが等しくなる | \(\text{道のり}_A = \text{道のり}_B\) |
| 出会う | 向かい合って進み、合計が 2 地点間の距離 | \(\text{道のり}_A + \text{道のり}_B = \text{距離}\) |
間違い④:川の問題で上りと下りの式を逆にする¶
川の流れが \(v\) km/h のとき:
- 上り(流れに逆らう):\(\text{実際の速さ} = x \boldsymbol{-} v\)(遅くなる)
- 下り(流れに乗る):\(\text{実際の速さ} = x \boldsymbol{+} v\)(速くなる)
✅ 対策:「上りは川に逆らうから遅い」と覚える。
まとめ¶
速さ・道のり・時間の公式
問題の種類と立てる式
| 問題の種類 | 2 本の等式のヒント |
|---|---|
| 2 区間の道のり | 道のりの合計、時間の合計 |
| 川の流れ | 上りの道のり=速さ×時間、下りの道のり=速さ×時間 |
| 追いつく | 2 人の道のりが等しい、時間差 |
| 出会う | 2 人の道のりの合計=2 地点間の距離、速さの差 |
| 往復で速さが違う | 時間の合計、時間の差 |
理解度チェック¶
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